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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第014号 ’99−09−24★
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エライ人
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●いわゆる「おエラ」
があちこちに住む町の一角、エヘン、そのはずれに私の家もあります。犬を
連れて散歩する習慣なのですが、朝は大きな車が「おエラ」さんをお迎えに
上がっているのを見かけます。
暑い季節ならクーラー、寒い季節ならヒーターを回したまま、つまりアイド
リングしての駐車です。運転手は中で寝込んでいたり、新聞を読んでいたり、
手持ちぶさた、、、私には務まらない仕事。 もちろん、やりたくもない。
どんな組織の「おエラ」さんなのか、そこのキャッチ・フレーズが「地球に
ヤサシク、、」に類するものだったら、まあ、大笑いしなくちゃ、ね。
*
こんな眺め、ずいぶん前にすたれたものと思っていました。が、この春以来、
久しぶりに散歩を復活させることになって、未だ健在だったと知りました。
全くどういうつもりなんでしょうかね、いまどき?
まして東京。電車は四通八達、タクシーも豊富。どうしてもクルマで、なら
自分で運転すれば良いのに、ね。 免許が無い? そんなの、認めないよ。
世界で一番イバル資格のあるゲイツ氏ですら、自分で転がしているんだぜ。
後ろの席でカッコつけるなんて、オクレテると思うんだけどなあ。
* *
それが毎朝、だから、特別に車の必要が生じたためではなかろう。だったら、
車を待たせないようにスケジュールすることも可能なはず。だが、工夫する
様子は見えません。ご近所のためにも、CO2や騒音の発生を慎むべきでは
ないか、とお節介な私はつぶやく。が、主人公にその配慮は無い。反社会的
性格? それがまた、例外なくデカイ乗用車でしてね。いったい何人乗せる
のやら? たまたま見た限りでは、どれも後席お一人様、でしたが、、。
その主人公が上に立つであろう組織は、勇将の下弱卒なし、さぞ傍若無人な
連中の集団だろう、と懸念されます。 少なくともヤサシクはないはず。
* * *
十数年前にも散歩を日課にしていたことがありましたが、その当時はかなり
お年を召した主人公もおられて、まあ送り迎えも仕方ないか、と許す気にも
なったり、いや、この時代(当時すでに!)、壊れ物みたいにソロソロ運ば
なくちゃならないくらいの健康状態の人が上に立つのはまずいんじゃないか、
など疑ったものです。
今はもう世代も替わって、そんなイタマシイ主人公はいないと思いますが、
それなら何故お迎え?と、不思議で仕方ありません。体裁だけのことなら、
時たまでも良かろうに、毎日飾らなくちゃ気が済まない?そりゃビョーキ
だぜ。必要な時だけ、タクシーでもハイヤーでもお呼びなさいよ。理由は
何であれ、運転手付き大型車ご出勤タイプ、もう消えてなくなれぇ!
バイク族だから言う、と思われたくないけれど、そんな人が本当にエライ
とは信じられませんよ。平日都内の渋滞ぶりを思い浮かべるなら、「思考
スピードの経営」時代の交通手段じゃあり得ませんからね。 あるいは
もしや、後ろの席で、モバイルなんかやっていらっしゃるんだろうか?
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●黒塗り大型乗用車
に、私がちょっとした偏見を抱いていることは否定しません。乗せてもらえ
ないからではなく、がっかりさせられる話を聞いたことがあるから、かも。
*
聞かせてくれたのは、某銀行との合併で今は消滅したK銀行の知人です。
彼Y氏はT大学法科卒、たちまち本部業務推進課のスターになりましたが、
アイデアがあまりにも過激だ、自分でやってみたらどうだ、と現場イビリ
出され、我がサーモスタット会社近くの支店長として赴任して来たのです。
理詰めで考え、精力的に歩いて新規有望貸付先を発掘しました。その中でも
我が社が最も成長株だったようで、お互いに印象に残る、長いお付き合いと
なりました。 最終的にY氏は、K銀行専務取締役まで昇進されました。
* *
そのY氏が、まずヒラ取締役に昇格された時のこと。お祝いを申し上げに
訪れたところ、形式的通常の挨拶を済ませればたちまち経営論議。そこで
急に真面目な顔をされて、声をひそめ、次のように打ち明けられたのです。
「実は驚いた。これまで一心不乱に働き、昇進の階段を登って来たが、その
最中いつも、上に行けば何かある、きっとあるはずだ、、と思い込んでいた。
それが、役員室の扉の中に入ってみたら、、そこで初めて知ったのだが、、
そこには、全くナーンニモ無かったんだ!」
詳しいことは別、要するに「おエラ」さん達は誰一人、銀行の業績向上に
関わるアイデアは全くお持ちでない、議論もなさらない、、ということ。
さらにその一方、見たくないものを見てしまった、ともY氏。
* * *
それは役員室の「中」の話ではなかったけれど、、、まあ、想像のほか。
毎日、昼も間近という時刻に、本店裏門の鉄扉が重々しく開く。黒塗りの
大型乗用車がしずしずと出て行く、、後席には誰も乗せずに。 行く先は
何と某サンドイッチ店。 某上席役員様のご昼食を買ってくるだけの往復。
材料が、どれも肩書き付きなのです。パンは永藤のナントカ・ブレッド、
ハムはローマイヤーだったかな。それに千疋屋のメロンが重なっていなく
てはならない。添えられたパセリは、、、と続く。 そのサンドイッチで
なくては、その役員様はご満足ではないのだ、という。 やれやれ、、、。
仕事に夢中でメシも忘れる、、くらいであって欲しいのに、ね、トップなら。
* * * *
まあ、この程度のこと、世間では珍しくないのかも知れません。ため息を
ついたY氏も、目を丸くした私も、年の割に純情だったのでしょう。それ
がたまたま、オトナの実像の一つに触れてガックリした、というところ。
しかし昔は、そのような「骨董品」が上に居座っていたようですね。その
かすんだオメガネに適った誰かさんが選ばれて後を継ぐのだから、本質と
いうか、ダメさ加減は、今もたいして変わるまい、、、
となると、「上の指示」で動くほかない管理職さんは、(上のオカシサは
様々だろうけれど)まさに「危険な職業」ですな。 危険手当付き?
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●廃業したY証券
のエライ人が、TV画面で泣き顔を見せてくれたことがありましたっけね。
あの恥知らずな空々しい演技!(としか見えませんでしたが)さすがに腹
が立ちましたな。「社員たちが悪いんじゃない、、」とか。じゃ、悪いの
は誰なのさ? どうせなら役員一同、揃って泣いて見せて欲しかった。
国内放送で見てすら吐き気を催すような眺めでしたが、海外のニュースで
(見たくはないのに)見せられた時は、全く身の縮む思いがいたしました。
あんた、世界中に流されたんだぜ、どんな気分? 承りたいですよ。
まさか今日あたり、ゴルフなんか楽しんでるんじゃあるまいね?
*
彼だけではない。金融不祥事とやらで、次々。ニュースの画面に現れては
形だけ頭を下げるエライ人たち。どれ見ても、こんな連中の組織にトラの
子を預けたんだ、、、 ゾッとした人が少なくなかったろうと思います。
「外観は内容の表現」と私は信じるものですが、まあ、尊敬できるような
中身があるとは思えない、そんなおエラさんたちの態度・表情でしたな。
* *
そして元Y証券の、「悪くない」と言われた「社員たち」の皆さん、あなた
たちは「一生懸命やった」そうですが、何を、誰の指示で、ですか?
もしや、あの「泣いた」人の、では?
現実にY証券から、EM法の組織に転職して来られた人がおりましたよ。
内輪話を聞かせてもらった結論、「最後の最後まで、会社にだまされ続け
ました」そうです。「一生懸命」な社員ほど、真面目さが災いして、会社
にムシられてしまった、という。 やはり、「ワニの涙」だったんだ。
* * *
社員ですらそれ、だから身内ではない「客」はカモそのもの。私もかつて
N証券にゴミとして扱われ、S証券にはハメられた。もっとも政府自身が、
NTT株では詐欺を働いた、と言われるくらいの我が国ですから、、、
もう、何を信じて良いのやら。 金融界に限らず、エライはずの人たちが
実はこんなもの、と見せつけられることがこれほど重なっては、ね。
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●「トップの意思決定」
と掲げたセミナーの案内が、だいぶ前のことですが、来たことがあります。
我々(当時私もその一員だった、の意)のEM法も「問題解決・意思決定の
技法」ですから、こういうのは気にかけます。で、同僚の一人が代表して、
勉強に行きました。 敵情偵察、ノウハウ獲得、も兼ねましてね。
彼が帰って来て、たちまち質問の矢が飛ぶ。ところが本人、ただ「参った、
参った」。 どうしたの?と訊くと、「いや、その先生がね、自分でインタ
ビューして回ったんだとサ」。 それで? どうだったの?
「結論から言うと、日本の企業トップが意思決定を下す時の<根拠>は、
9割以上、<過去の成功体験>なんだとサ」。 エー? いいのかね?!
*
「そんなバカな!」と思いましたよ、その時は。しかし我々もその後、
どこかへお邪魔する都度、それとなくそれらしい質問を試みた結果、
やはり似た値を得たのです。 ヒョッとすると、、、するんですねえ。
まあ、人情としては理解出来ないものではありません。「株を守りて兎を
待つ」とか「柳の下のドジョウ」とか、昔から言う通りです。
* *
当時ですら、すでに「不確実性の時代」。技術革新も進行中。過去の延長
線上に将来を想定することは出来ない、と誰もが言っておりました。が、
それはタテマエとして「言うだけ」。ホンネはおのずと行動に表われる。
そして行動は、「おのずと」なら、つまり特に意識してでなければ、経験・
カン・度胸の範囲を出るものにはなり得ません。問題は、それらが「今」
に通用するようなものであるか、です。
今は「おエラ」さんになっている人でも、昇進のもとになった実績を挙げた
のは何年も前。「ある時期の、ある環境下、ある顧客との、ある条件での」
取引で、のこと。 どの要素も、「今」はその時と同じじゃないのに、ね。
今という時期、この環境、その顧客、あの条件、としてもなお、通用する
と信じて良いのか?、です。「あのとき」はツイていただけかも知れない。
ツキまで「あのとき」のまま再現するとは信じがたい、、、。 もっとも、
「運」も実力のうち、と申しますから、「おエラ」さんを「実力者」と
認めるには吝かでない。が、「今」に通用するとはご自身も保証できない
であろう成功体験、それに基づいて意思決定をなさるのでは、、。
それ、間違いのもとかも知れませんぜ、社長!
* * *
だから第一線の状況を常にご認識頂きたいところだが、コンピュータ端末
の操作がお出来にならない。中にはメールくらい開ける、読める、という
方もいらっしゃるが、みずから返信なさる「おエラ」さんは多くない。
なのに何故か、いじらない人ほど、デスクに最新機能のマシンを置いて
いらっしゃったり、、。 どう見ても、釣り合わないんだよなあ。
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●そう言えば
「上司がバカに見えるとき」なんていうタイトルの本がありましたな。
自分の体験と大差あるまい、、、で、中身を読んではおりませんが、、。
伝統的組織構造は、下へ行くほど裾が広がる形。つまり下から見上げる
目玉の方が圧倒的多数。 上司とは、集中的視線を浴びる立場なのです。
多勢が無勢を見るのだから、慈悲も容赦も無い。見れば色々感じ取れる。
部下もそれなりに選りすぐられた人々なのだから、目は確かです。時に
「バカみたいだなあ」という小さな声も上がることは、あるでしょうな。
*
それは何も、近頃の傾向などではありません。有名な例:
「おれが初めてアメリカへ行って帰朝したときに、ご老中から「そち
は一種の眼光をそなえた人物であるから、定めて異国へ渡ってから、
何か眼をつけた事があろう。詳しく言上せよ」とのことであった。
そこでおれは「人間のすることは古今東西同じもので、アメリカとて
別に変わったことはありません」と返答した。ところが、「さようで
はあるまい。何か変わったことがあるだろう」といって再三再四問わ
れるから、おれも、「さよう、少し眼につきましたのはアメリカでは、
政府でも民間でも、およそ人の上に立つものは、皆その地位相応に
利口でございます。この点ばかりは、全くわが国と正反対のように
思いまする」といったら、ご老中が目を丸くして、「この無礼者、
控えおろう」としかられたっけ。ハハハハ、、
勝海舟の「氷川清話」(角川文庫)の一節です。 溜飲の下がる想い。
* *
ボトム・アップ、「よきに計らえ」の伝統も消滅しつつありますが、人は
急には変わらない。わが組織社会は、部下が有能だから成り立つ、という
仕組みでもあり、あまり有能だとエラくなれない仕掛けもある。「アチラ
とは正反対」と観念しなくちゃヤッテランナイ、、かも知れません。
トップ・ダウンの世界では、下す指示が馬鹿げたものなら、、、潰れるか、
身売りすることになって、「地位相応に利口」でない「おエラ」は自然に
淘汰され、いなくなります。残るのは「利口」な人々、という理屈、かな。
* * *
このグローバル化時代、昨日のあちらは明日のこちら。間もなく、こちら
でも地位相応に利口でないとトップに立てないようになる。つまり、そう
いう人が上に来る、あるいはそういう人であるあなたが、、、かな、、と
期待するのはご自由だが、ただ待つだけではいけません。「利口な」上司に
仕えるには、そして認めてもらうには、ましてあなた自身が人を率いるには、
それなりの準備が必要です。マネジメント思考をマスターしておくことです。
* * * *
期待できない、利口な上司なんて、、、の悲観論者さんへ:
それなら、上が危うい分、コントロールという管理をよほど念入りに固めて
おく必要があります。また、マネジメントという管理の部分も、あなた方が
代行しなくてはならないでしょう。ご苦労様ですが、、、。
分かった、じゃ、二刀流で行こう、と。 それが、あなたの意思決定かな?
■竹島元一■
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